中学受験では有名な「予習シリーズ」というテキストがあります。
出版元は中学受験最大大手の一つであり、昔から有名な「四谷大塚」です。
当教室でも、中学受験(特に私立中)を本格的に目指す生徒には採用しています。
最近、この教材の使い方や四谷大塚カリキュラムについての質問を受けました。
特に私立中学受験は高校受験や大学受験とは違う面があります。例を挙げると…
①高校受験や大学受験では、塾や予備校だけでなく学校も進路相談や学習相談を行うが、中学受験で小学校の先生が受験指導を行うことはまずない。
⇒塾が対応する領域が大きい(実質、中学受験は「家庭」と「塾」で進める)
②高校受験や大学受験に比べ、中学受験をする人数は少ない。保護者が中学受験経験者などでない場合、イメージが沸きにくいことがある。
⇒専門的な知識や経験が必要となる。
③高校受験や大学受験に比べ、保護者が介入できる部分が大きい。
⇒「家庭」と「外部(塾など)」のバランスや分担を考えることが必要になる。
④受験スタイルや志望校にもよるが…特に大手塾の学習量は膨大だったりする。
⇒全部こなそうとするとパンクする生徒も多い。しかし、受験が競争である以上、こなさなければならないのも事実。
⑤特に算数を中心として、中学受験ならではの教え方や解法があり、教えるのも容易でない場合がある(楽しんで学ばれる保護者の方も沢山いらっしゃいます)
⇒専門的な知識、指導経験が必要。
私自身も中学受験は未経験だったため、この仕事で初めて「中学受験」に携わった時には知らないことやイメージが沸かないことが多く、混乱した記憶があります。
せっかくの機会なので、少し書き留めておこうと思います。
左:大昔の予習シリーズ
右:今(ちょうど現在改定中なので、昨年までのテキストと言った方がいいかな)
【前提的な話いろいろ】
私立中学受験の形は多種多様です。「なぜ、中学受験をしたいのか?」という理由も様々です。ここではそういう話は割愛し、もう少し現場の状況に踏み込んでいきます。
《中学入試の難易度は?》
ものすごく幅広いです。特に近年は、様々な入試形態をとっている学校も増えています。
ただ、いわゆる有名校や大学付属校などの多くは高難易度です。かなりの学習量を必要とします。
《私立中学受験の勉強内容は小学校の学習内容とは違うのか?》
上記したように、近年は様々な入試形態もあり、難易度も幅広いですが、いわゆる「中学受験大手塾(四谷大塚・SAPIX・日能研)」で扱っている問題レベルは、小学校で習っているものとは別物と思った方が良いです。小学校では習わないような解法も沢山習います。
《予習シリーズの難易度は?》
高難易度の教材の一つです(様々な教材があるので、比較することは難しいところもありますが…)
例えば算数は、「基本問題」「練習問題」と分かれていますが、「基本問題」をきっちりこなすだけでも大きなエネルギーが必要です。
《なぜ予習シリーズを採用している中小塾が多いのか?》
①昔からある教材で、認知も高く、信頼おけるものだということ。
②提携塾や一般生徒でも購入できるということ(他の大手塾の教材は、一般販売されていないものが多い)
③カリキュラムが明確
このあたりでしょうか。
《予習シリーズの使い方は?》
ここが、塾によって大きく異なる点です。予習シリーズはその名前の通り、元々は「予習型」の教材です(この時代のことは私は聞いた程度でしか知りませんが)
現在、予習シリーズを使っている塾は沢山ありますが、私の知っている限りでもその使い方は様々のようです。
※学習計画の簡易版参考例
【当教室では…】
■基本的には「復習型」での指導。特に算数は、予習シリーズに出てくる新規事項は塾で教えるようにしています。その理由は二つ
①例題や類題を見て、分かった気になって解くことを防ぐ(例題の式だけ覚えて、数字をあてはめる解き方を防ぐ)
②予習シリーズに載っていない解き方や図法などを教えたい場面がある。
よって、宿題は復習問題が中心になります。
■家でやりやすいものは家庭学習に、塾でやるべきものは塾での役割分担
例えば、算数の計算問題、国語の漢字、社会や理科の暗記物は家庭学習中心に。
国語の読解問題、理科の物理化学系統の問題、社会の中でも読むだけでは分かりにくい部分などを塾中心に。
他にも、テストは様子を見ながら導入していたり、副教材などを適宜使うときもあります。四谷大塚の教材は副教材なども含めて全部扱おうとしたら、分量が多く消化不良になりがちです。引き算の発想が重要と思っています。
いつか、チャンスがあったら「中学受験専門塾」をやってみたい気持ちもあります。小さいながらも、独自性を持ちながら中学受験に特化した塾や教室。
多摩地域ではあまり見かけないですし(私が知らないだけかもしれませんが…)